
Tシャツの限界
不快指数は限界を突破していた。原因は暑さだけではない。
汗が止まらない。滝のように吹き出す汗を、私の愛用するTシャツは、その全てを律儀に吸い込んでいった。吸水性が良い、というのは普段なら褒め言葉だ。だが、この湿気の中では致命的だった。
水分をたっぷりと含んだTシャツは、濡れた雑巾のように重くなり、肌にべったりと張り付く。通気性は皆無。走るたびに、重くなった生地がドサッ、ドサッと体を叩く。さらに、スウェットのポケットに入れたスマートフォンが、湿った生地の中で振り子のように暴れ回る。
ドスッ、ドスッ、バイン、バイン。
太ももに当たる鈍い衝撃。手で押さえようとすると腕が振れない。放っておくと気になって仕方がない。
たいち
ダメだ。これじゃ走りに集中できない!
携帯もボケットの中で暴れるし、汗でべとべとするよ。。。
私は立ち止まり、張り付いた襟元を引っ張って空気を入れようとしたが、濡れた布地はすぐにまた肌に吸着した。
これまではランニングなんてTシャツで十分だと思っていた。だが、環境が変われば、必要な装備も変わる。これは私の忍耐力が足りないのではない。「装備の選択ミス」なのだ。
私は重くなったTシャツを忌々しく思いながら、トボトボと帰路についた。